大学四年生の結城桜子が水森楓と出会ったのは、桜の木が薄い緑の葉をつけた頃だった。
互いの名前しか知らないふたりは、梅雨空の下で、蝉しぐれの中で、赤く染まった葉が舞い散る下で、少しずつその距離を縮めてゆく。
しかし、やがて桜子は、楓の言動に微かな違和感を覚えるようになった。
楓は何処からやって来て、何処へ帰ろうとしているのか……?
必然の出会いと必然の別れが刻む、現代ファンタジー。
結城 桜子 ( ゆうき さくらこ )
大学四年生。なかなか就職の内定がもらえずに焦っている。
水森 楓 ( みずもり かえで )
大学四年生。本の虫。
渡部 亜矢 ( わたべ あや )
桜子の親友。同じゼミに所属。
広田 昭雄 ( ひろた あきお )
桜子の恋人。